2020年3月10日火曜日

無気味な王冠「COVID-19」: その正体と撃退法?

薬学博士:  丸田  浩 著 (「ブルーバックス」出版に向けて、執筆中)

序:  2019年末に中国の武漢市内から発生した新型肺炎の病原体は「コロナ(王冠) ウイルス」と呼ばれるRNA ウイルスの一種である。翌年3月中旬までに、その感染者が世界中に拡大して、90万人の大台を越した!  死者は 4万4千人 (死亡率=約5%)!  世界経済は、その煽りを食らって、(特に、観光事業、航空会社などの) 株価が史上まれに見る大暴落を目下続けている。東京五輪 (2020年夏期) の開催も遂に来年に延期された。さて、有効な対策 (撃退法) は果して、あるのだろうか?  微生物学、免疫学、分子生物学に関する幅広い専門家として、その予防/治療法の "最先端" を詳しく解説する。

病原ウイルスの古典的な対策は、19世紀末のルイ=パスツールによる狂犬病ウイルス対策に始まる。弱毒化したウイルス抗原 (=ワクチン) を注射 (種痘) して、それに対する抗体産生を刺激する方法である。 ワクチンの調製には、少なくとも12カ月、通常18カ月かかる。従って、ワクチンに頼る方法では、新型ウイルス発生から少なくとも丸一か年は、文字通り「対策なし」である。

しかしながら、ウイルスのゲノムが「RNA」であることに着目すると、より早期の(分子薬学的) 治療が可能である。RNA ウイルスの増殖にはRNAゲノムを鋳型にして mRNA を生産するRNA依存RNA ポリメラーゼ (RdRP) と呼ばれる酵素が必須である。この酵素は宿主細胞の増殖には関与しない。従って、この酵素を特異的に阻害する既製の薬剤 (例えば、 "Remdesivir" 、"Avigan" など)  で、RNAウイルスの増殖は早期に抑制することができるはず。

さて、コロナウイルスによる肺炎の発症には、複雑な分子メカニズムが関与しているが、その過程中 (2段階で) 宿主細胞の「PAK」 と呼ばれる病原キナーゼ (蛋白燐酸化酵素) が必須であることがつい最近明らかにされた。その一つは、ウイルスの受容体 (Angiotensin Converting Enzyme 2=ACE2) によって活性化されるカゼイン=キナーゼ (CK2) の直ぐ下流で、肺炎 (Fibrosis と呼ばれる炎症) を惹起するCCL2 遺伝子の発現に、PAKが必須である。もう一つは、CCL2 によるFibrosis にもPAK が必須である。言い換えれば、PAK は「肺炎の要 (かなめ) 」である。

この要を遮断する多種多様のPAK 遮断剤 (例えば、プロポリス、イベルメクチン、メラトニン、ケトロラックなど) が、かなり昔から安価に市販されている。これらの PAK 遮断剤は、「RdRP 阻害剤」 (ATP 誘導体) と違って、全く副作用がない。 従来は、主に癌や炎症などの治療に使用されていたが、「COVID-19」、流感、エイズなどのRNAウイルス感染の予防/治療にも有効なはずである。(ワクチンが最終的に市販されるまで) 自己責任で試してみて欲しい。

もう一つ、追記したいことは、PAK には元来、免疫機能を抑える働きがある。従って、PAK遮断剤は免疫機能を高め、ワクチン同様、ウイルスに対する抗体の産生を促す作用もある。言い換えれば、「一石二鳥」である!

参考文献: 
Maruta H (2020). Tackling the Coronaviral Infection: Blocking Either the “Pathogenic” Kinase PAK1 or RNA-dependent RNA Polymerase (RdRP). J. Infect Diseases & Ther. 8 (2) 418.
Biography: 
Ph.D (in pharmaceutical sciences) from Tokyo Uni. in 1972. NIH (1973-1980), Max-Planck-Institute in Munich (1980-1984), Yale and UCSD (1985-1987), Ludwig Institute for Cancer Research in Melbourne (1988-2006), UKE (Hamburg Uni. Hospital, 2006-2007), PAK Research Center in Melbourne (2007-present).


0 件のコメント:

コメントを投稿