従って、(理論的には) 抗癌剤としても、使用しうるが、(残念ながら) かなり以前から、この薬剤に意外な副作用が知られていた。 元来、この薬剤は、「不眠症」、「憂鬱病」や「癲癇」などの治療薬として、1960年にRoche により 開発されたが、いわゆる「依存症状」を伴い、服用を辞めると、不眠症などに戻ることが、明らかにされている!
BDZ (or Benzos) には、「血圧降下作用」があり、PAKを何らかのメカニズムで遮断している "可能性" が長らく示唆されていたが、ごく最近 (2023年) 、カナダのモントリオールの研究グループによれば、BDZは、抗癌蛋白である「p21」 の (E2-dependent) ユビキチン化による蛋白分解を阻害する機能があることが明らかになった。 従って、PAK/TOR 遮断による 「p21」 遺伝子の発現を促進する作用があるため、(NF腫瘍を含めて) 大部分の固形腫瘍の治療に役立つはずであるが、残念ながら、(アルコールやニコチン同様) 「 依存性」 があり、服用を辞めると、いわゆる 「禁断症状」を起こす! 従って、要注意!
REF:
Pelletier B, Duhamel S, Tambutet G, et al (2023).
Discovery of Benzodiazepine-Based Inhibitors of the E2 Enzyme UBCH10 from a Cell-Based p21 Degradation Screen.
ACS Chem Biol. 18: 1039-1046.
更に、 40年以上昔に、BDZには、メラニン合成を促進する作用が報告されており、「TOR 遮断剤」の可能性が高く、
いわゆる (副作用のない) 「PAK遮断剤」ではない!
さて、数年前に、不思議な現象が、ある "MM" (多発性骨髄腫) 患者 (75歳の女性) に
発生した。 2009年以来、MSの特効薬として、サイリドマイドを毎日、経口し始め
たところ、数年後に、「白髪」だった女性が、(髪の染色無しに) 「黒髪」になっ
た! 勿論、「美肌のまま」で、 思わぬ (歓迎すべき) "副作用" (若返り?) だった!
S Lovering, W Miao, T Bailie, et al (2016).
Hair repigmentation associated with thalidomide use for the treatment of multiple myeloma.
BMJ Case Rep. 2016: bcr2016215521.
20年ほど昔の実験であるが、年取ったマウスなどをラパマイシン (TOR 阻害剤) で処理すると、平均寿命が 10% ほど延長するという報告がある。。。
サリドマイドは、「妊婦」が経口すると、いわゆる「サイドマイド児」が誕生するが、実際には、妊婦以外には、(有害な) 副作用がないことが明らかになっていた。 実は、サリドマイドは「PAK遮断剤」の一種であるからだ。しかし、このMS患者の実例 (毛髪) では、PAKの代わりに、 「TORが遮断」されている可能性もある。。。
言い換えれば、(抗癌剤/消炎剤として) 「サリドマイド」の方が、「BDZ」よりも、ずっと
「安全そう」である! 実は、サリドマイドには、ラパマイシン (TOR遮断剤) と同様、免疫能を抑制する
作用もあるが、そのアミノ誘導体 ("ジェネリック" 市販 「Pomalidomide」, POM) には、もはや
免疫抑制機能はない 「PAK遮断剤」(JAK スナイパー) である!
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