2023年11月10日金曜日

カプトプリル (高血圧の特効薬) も、PAK遮断剤
実は、蛇毒成分 (ペプチド) の誘導体 (ACE阻害剤)!
美白作用や抗COVID (肺炎) 作用がある
CC によるアミド結合で、更に (薬効) 改善の余地あり!

前述したが、血圧はPAKが活性化すると、上昇する。 従って、 市販の高血圧の 特効薬、例えば「バイアグラ」や「グアナベンツ」は (健康長寿に繋がる) "PAK遮断剤" でもある。
さて、1970年代中頃に、米国の製薬会社 (Bristol Myers Squibb、BMS) によって開発された「カ プトプリル」と呼ばれる (高血圧の特効薬) は、1980年に市販されるようになっ たが、この化合物は、実は "蛇毒の成分" で、血圧を下げる作用を持つペプチド (ACE阻 害剤) の誘導体である。 この発明の発端になる発見は、ジョン=ベインという英 国の循環器医者 (1982年に、「プロスタグランディン」の研究に関して、ノーベ ル医学賞を授与) と、(1960年代に) はるばるブラジルから蛇毒持参で、やって来 た若い研究者によって、見つけられた面白い観察に基づく。 この蛇毒成分の中 に、血圧を下げるあるペプチドを発見したが、それがACE (Angiotensin Converting Enzyme) の阻害剤だった。 そこで、BMSの有機化学者たちが、このペプチドに似 た化合物「カプトプリル」を高血圧の特効薬として開発した。
その後、この化合物には、他の様々な薬効が見つかったが、その一つが「美白作 用」である。2012年に台湾の研究チームが、この薬剤に「チロシナーゼ遺伝子の 発現」を抑える作用を発見した。 2015年に我々は、メラニン合成に必須なチロシ ナーゼ遺伝子の発現にPAKが必須であることを発見した。つまり、この化合物がPAKを 遮断している可能性が極めて濃厚になった。
実際、2019年なって、中国南京のPAK研究グループによって、この化合物がPAKの上流にある「JAK」と呼ばれるチロシン キナーゼを直接阻害することが証明された。 従って、この安価な (ジェネリック ) 市販薬 (12.5 mg 錠剤、100 錠が1600 円、つまり一錠 16円!) が、COVIDによる肺炎や様々な固形腫瘍の治療にも、役立つ可能性が極 めて高い。
REF:
Zhang Y, Zhang L, Fan X, et al (2019).
Captopril attenuates TAC-induced heart failure via inhibiting Wnt3a/β-catenin and Jak2/Stat3 pathways. Biomed Pharmacother. 113:108780.
面白いことには、ACE阻害ペプチドは、蛇毒ばかりではなく、山羊の乳の中にもあ り、 IC50は、カプトプリルと同様、4 micro M だそうだ (2017年の鹿児島大の研究 )。 山羊は乳牛と違って、山岳地帯に住み、常に「山登り」をするので、血圧が低い のかもしれない。。。
カプトプリルのACE阻害作用 (IC50 in vitro) は 6 nM と言われている。 あいにく、この分 子には "カルボン酸" があるので、"細胞透過性が乏しい"。 従って、クリック化学 (CC) で、 1,2,3, Triazolyl (エステルあるいはアミド) 化すると、千倍近く、その薬効を 飛躍させる可能性がある。。。実際、2004年の "特許" (イタリアのチーム) によれば、カルボン酸をアミド結合した 誘導体がより良いことが報告されている。 つまり、カルボン酸部分は、薬効には必須ではない!
REF:
HR Ibrahim, AS Ahmed, T Miyata (2017).
Novel angiotensin-converting enzyme inhibitory peptides from caseins and whey proteins of goat milk. J Adv Res. 8: 63-71.

0 件のコメント:

コメントを投稿