実は, ("ダウン症候群" =DS の治療法を扱った) "アルジャーノンに花束を" という "SF" 小説が1966年に出版され, それが米国で "テレビ映画化" される直前の, 1990年代は, いわゆる "遺伝子療法" の開発研究が, 製薬業界の花形だった.
我々自身も, (固形癌の3割を占める) "RAS 癌" の治療をめざして, いわゆる"抗
癌遺伝子" (NF2 遺伝子 etc) の同定や開発をめざす一連の研究に明け暮れた.
しかしながら, 結局,"遺伝子療法には実用性が欠ける" ことに気付き, 薬剤を駆
使するいわゆる
"シグナル療法" の追及にギア=チェンジを図った. こうして, 登
場/誕生したのが, もっと実用性の高い一連の天然/合成 "PAK 遮断剤" である. このアプローチ (後者) が "固形腫瘍" の治療ばかりではなく,"健康長寿" 促進
へ発展した.
さて, 2017年に, 京大医学部の研究グループが, "DS" の治療剤として, "DYRK1A"
と呼ばれるチロシン=キナーゼを阻害する薬剤 (Algernon) を開発した! 勿論, この "薬名" は, 上記の "SF" に由来する...
文献の要約によれば, (少なくとも) マウスの "DS" モデルでは, 胎児の段階で, 妊
婦をこの薬剤で処理すると, DS 児の誕生が予防できるそうである.
DS の場合, 染色体 "21" が "3本" (正常の場合は, 2本だけ) あるため, この染
色体上の遺伝子の発現が, 50% だけ増加されるために, IQ や寿命などを含めて, いくつかの機能が
, 低下/減少する.
実は, PAK 遺伝子も (DYRK1A 遺伝子同様) , この染色体上にある.
従って, 理論的には, "PAK遮断剤" によっても, DS の症状の一部を予防しうるはずである.
実際, "PROZAC" などのPAK遮断剤で, DS マウスの新生児を処理すると, 知能などを
含めて, 正常な機能を回復しうる (1).
ある意味で, DS 症状は 認知 (AD) 症が, 1.5 倍早く訪れるような症状, と解釈
できる...従って, PAK遮断剤などで "老化を遅延 " (言わば "大器晩成"に) すれば, 良いこ
とになる...
結論: 例えば, "Hibiscus for DS Children" は実現可能な小説 (実話) となりうる!
REF:
1. F Stagni, A Giacomini, S Guidi et al (2015).
Long-term effects of neonatal treatment with fluoxetine on cognitive performance in Ts65Dn mice.
Neurobiol Dis. 74: 204-18.
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