2019年1月20日日曜日

スイゾウ癌の治療薬: 「Gemcitabine」に始まる開発小史

スイゾウ癌や肺癌などの手術が難しい固形癌の治療に使用されている Gemcitabine (商標 Gemzar, GEM) は、5FU と同様、典型的な核酸 (DNA)  合成の前駆体の一つ (フッ素化合物 =dFdC) であり、体内で燐酸化され、正常なDNA 合成を阻害することによって、増殖の速い癌細胞および正常細胞 (例えば、骨髄細胞、毛細胞、腸内細胞など) を殺す作用を持つ。従って、極めて有毒であり、脱毛、免疫機能の抑制、食欲不振などの副作用 をもたらす。GEM は1980年代初期に米国の製薬会社 「Eli-Lilly」によって開発され、1983年に特許が承認された。 以後、10年以上の臨床テストを経て、1995年にFDA により、市販が承認された。 2010年頃に特許の期限切れで、ゲネリック薬として、比較的安価に市販されるようになった。 

GEM は5FU と同様、当初「スイゾウ癌の特効薬」と言われていたが、実は癌細胞に耐性 をもたらし易く、僅か一割のスイゾウ癌の治療には役立つが、残り(9割) のスイゾウ癌には全く無効であり、患者に死亡をもたらす。従って、GEM/5FU 耐性の大部分のスイゾウ癌患者を救うために、副作用がなく、かつ耐性を引き起こさない抗癌剤 (魔法の弾丸) の開発が緊急に求められていた。

1994年に、丁度GEM が市販され始めた頃に、哺乳類にも「PAK 」というキナーゼが存在することが、シンガポールのEdward Manser 博士らによって、発見された。実は、その17年も前に、米国NIH の我がチームによって、PAK が「ミオシンキナーゼ」として、土壌アメーバ中に発見されていたのだが、 その隠された病理が長らく不明のままだった。 数年後 (20世紀末) に、哺乳類のPAK が (癌の増殖に必須な) 「発癌キナーゼ」であることが、Manser 博士と我々との共同研究の結果、先ず明らかにされた!  しかも、PAKは正常な細胞の増殖には、全く不要であることも確認された。実は、PAK は動物の生存には不要で、その寿命を短縮していることも我々は突き止めた!    つまり、PAK を選択的に遮断すれば、正常な細胞を害することなく、癌細胞を特異的に殺すばかりではなく、健康長寿を促進する!  こうして、そのような "夢のPAK遮断剤" (健康長寿薬) の発掘と開発をめざす研究が、我々の研究室を中心に開始された。

2005年頃にニュージーランド (NZ) 北島の大都市「オークランド」の郊外に「Manuka Health」 (MH) という養蜂業者が設立され、商標「Bio 30 | というプロポリスを安価に通販し始めた。 MH社長 (ケリー=ポール) と偶々親しくなった私は、このプロポリスの薬理作用、特に抗癌作用のメカニズムを解明する研究を、早速始めた。 間もなく、「花椒エキス」と同様、CAPE を主成分にする Bio 30 が、実は「PAK 遮断剤」であることが判明し、しかも動物 (マウス) 実験で、スイゾウ癌やNF 腫瘍の増殖や転移を、(副作用なしに!) 強く抑えることを (ドイツのハンブルグ大学病院と共同で) 確認した!  つまり、癌やNF の特効薬 (魔法の弾丸) を遂に発掘したのである。

そこで、その実験結果を英文医学雑誌に発表すると同時に、主にスイゾウ癌とNF患者を 対象にしたBio 30の非公式な治験を始めた。 この治験の主な目的は、それらの腫瘍患者にプロポリスを (薬代による家計への負担を軽減するために) 「市価の3割!」程度で提供し、自己責任で、自らの難病を治癒させることを助成する "人道的な意図" からだった。期待通り、GEM 耐性の末期 (転移)スイゾウ患者が一年以内に癌の根治に成功した!勿論、副作用は全くみられなかった!  更に、多くのNF (神経線維腫症) 患者の脳腫瘍の増殖もピタリと止り、次第に腫瘍が萎縮し始めた、という報告も受けている。。

このプロポリスの特筆すべきもう一つの特徴は、「薬剤耐性が生じない」ことであった。 NZ 産のプロポリスは、CAPE を始め数種の異なるPAK遮断剤の混合物であるため、その全てに耐性な癌や腫瘍は、理論的に発生しがたい。 従って、GEM などの従来の抗癌剤が抱えていた「副作用と耐性」という問題も、同時に解消されたわけである! 

我々が最近開発したPAK遮断剤 「15K  」は、言わば 「Bio 30 の改良版」である。先ず薬効が「千倍」近い!  勿論、動物実験では、副作用がないどころか、健康寿命を有意に延ばす。 しかも、薬剤耐性が起こり難い。何故かというと、この合成エステルは、光学異性体の混合物 (R体 とS体 ) であり、発癌性「PAK シグナル経路」にあるRAC (上流) とCOX-2 (下流) を各々阻害する「一石二鳥」の「魔法の弾丸」を内在している。 つまり、「ダビデ伝説」(実話) に例えれば、敵の大将「ゴリアテ」の両眼を一発のパチンコの弾で失明させることができる。

いよいよ今年は、哺乳類PAK の発見「25周年」を迎え、できれば、夢のPAK遮断剤「15K」の治験を開始したい。 

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