2021年11月6日土曜日
「ダイヤは石炭から自然発生した」という説は "嘘"!
炭酸ガスやメタンから 人工「ダイヤ」が製造できる!
「温室ガス」 (CO2 とメタン) による地球温暖化を救え!
宝石の王者「ダイヤモンド」も燃料の「石炭」も (化学的には) 炭素の塊まりである。さて、石炭は原始時代の樹木が (地圧などにより) 炭化して出来た鉱物である。そこで、ダイヤモンドも樹木から石炭を経て、より高度に炭化したものである、という説が、昔から誠しやかに囁やかれていたが、実はその説 (噂) はどう やら、「嘘 」のようである。。。従って、地球温暖化の原因である石炭を全部「ダイヤ」に変換する、という "野心的な" アイディアは、余り現実的ではなさそう!「科学者の端くれ」我が輩にとっても、全く「鱗から目」である! ただし、石炭や鉛筆の芯からダイアモンドを人工的に (高圧と高熱で) 製造することは、極く小規模ながら可能! 千葉工大の工学部教授 (坂本 幸弘 ) によれば:
人工ダイヤモンドを作れ!
実は、ダイヤモンドは、地中奥深くの「マグマ」の中で、できると言われている。そこで、その高温高圧の環境を再現すれば、黒い炭がダイヤモンドになるのではないかと考える人物 (Tracy Hall) が現れた。 1954 年頃、アメリカのゼネラル・エレクトリック (GE) 社は、1400~1600度、5500気圧という環境下でダイヤモンドを作ることに成功した。史上初の人造ダイヤ! ただ、1年間でやっと20mm程度の大きさにしかならない。 次に成功したのが、「衝撃圧縮法」。爆薬を爆発させて、瞬間的に石炭に高圧力をかけると、細かく飛び散った炭素のいくつかがダイヤモンドになる。数百ミクロン以下という肉眼には見えない大きさあるが、工業用の研磨剤や切削工具の材 料などに使われている。
「プラズマ」でダイヤモンドを作れ!
そして、こうした2つの大掛かりな方法とは異なる、「気相合成法」が登場した。 固体・液体・気体は「物質の3態」と呼ばれるが、気体をさらに高温にすると、プ ラズマという状態になる。原子を構成する、原子核と電子がバラバラになって飛 び交っている状態。CH4(メタンガス)とH2(水素ガス)を混合した反応ガスを、800度、 1/3気圧の環境で、エネルギーを投入してプラズマ状態にすると、CとHがバラバラ になり、そのうちのCのある割合が、ダイヤモンドの構造に並ぶ。この人造ダイヤ は、金属などに付着して膜になる。このダイヤモンド膜は、宇宙船の窓や、工具 の材料に使われている。
しかしながら、ダイヤモンドの王者 「ピンクダイヤ」の大きな塊まりを、人工的に製造するのは、未だ未だ技術的に無理なよう!
最後に「蛇足」 (奇想天外なアイディア) だが、炭酸ガスとメタンガスを適当な金属触媒存在下に (高温 》800 度 と高圧で) 反応させ、炭素の結晶 (例えば Diamond) と水を製造する技術を開発できれば、地球温暖化が一気に解消されるばかりではなく、その "パテント" で億万長者になれるはず! この反応には、脱水が必須なので、耐熱性の "Silicagel" (SiO2) が活躍するかもしれない。。。ダイヤは水分を弾くが、水晶 (SiO2) は水分を吸収し易いという性質は、この反応 を成功させる鍵を握る!
CO2 + CH4 = 2CO + 2H2 (known in 2020) = C2 (diamond) + 2H2O (water)
号外: 驚くなかれ、英文雑誌「Scientific American」の2021年3月号によれば、欧米の2社が既に、(少なくとも) 「炭酸ガス」から高圧高温下にダイヤを製造し、販売を開始しているそうである: 詳しくは、
https://www.scientificamerican.com/article/modern-alchemists-turn-airborne-co2-into-diamonds/
Modern Alchemists Turn CO2 into Diamonds
Each carat removes 20 tons of greenhouse gas from the sky!
By John Fialka, March 12, 2021 (Scientific American)
更に、日立製作所からの古い論文 (1990年) によると、CO とH2 の混合ガスからも、 少なくとも「microwave plasma」 という方法で、人工ダイヤができるそうである!
Yukio Saito, Kouji Sato, H. Miyadera (1990). Diamond synthesis from CO-H2 mixed gas plasma. Journal of Materials Science
Summary: Particulate or film-like diamond was prepared on silicon substrates from CO-H2 mixed gas using a microwave plasma technique.
なお、ピンクダイヤモンドが産出される鉱山は限られ、ここ数十年は世界のピンク ダイヤモンドの約90%は西豪州にあるアーガイル鉱山 ("Rio Tinto" 所有だが、 2020年末にとうとう閉鎖!) から採掘される。アーガイル 鉱山から産出されるダイヤモンドも、そのほとんどは工業用にしかならないクオ リティ。約5パーセントの宝石クオリティの原石も、8割は無色またはブラウン。 宝石になり得るピンクダイヤモンドと出会える確率は産出される全ての原石の僅 か「1万分の1」 という、まさに奇跡のような宝石! 従って、万が一、結婚祝いにもらった指輪に「ピンクダイヤ」がはまっていたら、 その花嫁は誘拐される可能性が極めて高いので、指輪は (一生、金庫に閉まったまま) 他人に見せびらかさぬ方が賢明!
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