2024年8月22日木曜日

Tom Pollard and Rob Weinberg in Myosin and RAS
Leading to the discovery of PAK1, "Ageing" kinase
They were born in the same year (1942) as myself!
「健康長寿の秘訣」を解き明かした「三銃士」!

我が輩は1972年に東大薬学部で博士号を取得し、その翌年に米国に渡米した。 最初の一年はNIH から奨学金を貰って、米国中西部 (コロラド大学) で遊学しながら、ロッキー山脈の登山を堪能した。 その後、米国東海岸にある首都ワシントンの郊外にあるNIH (米国最大の医学研究所) に移った。ここで、丸6年間、ミオシンに関する研究に没頭した。
このNIHの3号館に、私のボス、Ed Korn の研究室があった。歴史的には、この3号館の地下で、筋肉収縮の研究で有名なAlbert Szent-Gyorgy が、戦後しばらくアクトミオシンの研究をしていた。
言わば、その弟子である Korn 博士の研究室に、1969年頃から、ハーバード大学医学部からやってきたポスドク、Tom Pollard が土壌アメーバ中の奇妙なミオシン(Myosin I) について研究していた。このミオシンは哺乳類に発見された双頭のミオシン(Myosin II) と違って、単頭だった! 奇妙なのは、それだけではない。 アクチンによって、そのATPaseが活性化されない! しかしながら、アメーバのある分画 (Cofactor) を加えると活性化されることが判明した。 その時点で、トムはハーバードに戻った。
我が輩の仕事は、謎の Cofactor の「正体」を暴くことだった。しかしながら、それに丸3年の月日がかかった! 結局、1977年末に、Cofactor=Myosin I heavy chain kinase であることが判明した! それから、17年後の1994年になって、シンガポール大学の英国人、Ed Manser によって、そのキナーゼによく似た酵素が哺乳類にも存在することが発見され、PAK1 と命名された。
さて、1980年頃に、MITのBob Weinberg 教授の研究室によって、ラット肉腫細胞に、”RAS” と呼ばれる発癌G蛋白の変異体が発見された。 それから、20年ほど経って、Manser 博士と我々の豪州チームにより、RAS による発癌には、PAK1が必須であることが突き止められた! つまり、PAK1 は発癌キナーゼだった。
それから、数年後の2007年に、我々は、線虫を使って、PAK1の欠損した変異体が野性株より6割も長生きすることを突き止めた。つまり、PAK1 は寿命を縮める「老化酵素」でもあることが判明したわけである! 言い換えれば、様々な「PAK1遮断剤」 (食材/薬剤) によって、”健康長寿”が達成される!
従って、我々, PAK Experts (Ed Manser and I) は、トムやボブにも感謝しなければならない。
さて、 我々のNIH 時代のボス (Ed Korn ) は本年96歳だが、何と90歳まで NIH に勤続 (米国や豪州では「定年制度」がない)!目下、ワシントン郊外にある老人ホームで、奥さん (ミッキー) と元気に暮しているそうである。
我が輩は (ボスとは違い), 63歳で (豪州の) 癌研を退職し、自営の研究所 (PAK 研) を立ち上げ、
"パソコン"を駆使して、世界中で "PAK1遮断剤" 研究を続けている
。。。

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