台湾出身のリベラルな女流作家 (日本永住) 、李 琴峰、の いわゆる SF 小説 「彼岸花が咲く島」が今年の芥川賞に受賞した! 小説については、On-line で一寸「あら筋」しか未だ読んでいないが、実は、真っ赤な彼岸花の球根には、昔から「一見不思議な」様々の薬効 (例えば、麻酔作用 など) が知られている。 最近、その謎が解けた! 2005年頃に、四川省産の赤い「花椒」 エキス (花水) に "PAK遮断作用" を初めて発見して以来、我々PAK 遮断剤研究家の間には「赤い花にはPAK遮断作用あり」という素朴な定理が通用している。 実際、彼岸花由来の「Narciclasine」というアルカロイドに、どうやら強力な "PAK 遮断作用" があることが、中国や米国などでの最近 2-3年の研究によって、明らかになった。 IC50=12 nM (抗癌作用) で、我々が開発した合成 PAK 遮断剤「15K」に匹敵する薬効を示す。。。
References:
Chun-Yan Shen , Xi-Lin Xu , Lin-Jiang Yang , Jian-Guo Jiang (2019).
Identification of narciclasine from Lycoris radiata (L'Her.) Herb. and its inhibitory effect on LPS-induced inflammatory responses in macrophages. Food Chem Toxicol. ;125:605-613.
https://www.nature.com/articles/s41598-020-62690-9
実は、Narciclasine の存在する植物は真っ赤な彼岸花に限らない。黄色いラッパ水仙 (Daffodil) や真っ白い彼岸花にも存在する。我が地元の豪州メルボルンでは Cancer Council (対癌財団) のシンボルが、Daffodil である。 今まで、その (薬理的な) 根拠が定かでなかったが、この花由来のアルカロイドがPAK遮断作用により、癌の増殖、転移などを抑えるからであることは明らか! なお、Narciclasine の抗癌作用は1967年にイタリアの研究者によって、発見され
ていた。。。
ただし、Narciclasine は水に溶けにくいという難点がある。 そこで、2003 年に、これを燐酸化した "水溶性" 誘導体 Narcistatin が米国アリゾナ大学の有機化学者によって合成された (2010年にUS特許認証!) 。 この誘導体 (=prodrug) は腸管から吸収されてから、代謝されて、 Narciclasine になる。
(書評): 台湾が香港同様、中国大陸 (中共政府) の統括下に置かれることは、今や時間の問題である。 たとえ米国が介入しても、結局、ベトナム戦争やアフガン戦争の大失敗を繰り返すのみ! そこで、リベラルかつ賢明な著者 (李女史) は自由を求めて、日本に移住した。そのような自身の体験と「卑弥呼」(3世紀の前半頃、北九州の博多湾を中心に栄えた「邪馬台国」を治めていた女王)の伝説をうまく組合せ、不思議な彼岸花の御利益を香辛料に利用して、綴ったのが、このSF/歴史 小説らしい。 若しかしたら、1-2世紀後には、卑弥呼、エリザベス女王 (一世) や Angela Merkl のような "抜きん出た" 女性が現れ、沖縄 (あるいは日本全土) の統治を成し遂げてくれるかもしれない (実は、北海道の札幌でも、彼岸花は咲く!)。 そのためには、地球温暖化やCOVID のような伝染病により、衆愚が先ず淘汰され、彼岸花のようなPAK 遮断剤で生き残った (先見の明のある) 賢者が過半数を占める世の中の到来が必要である。いわゆる "Twilight Zone" にある我々 (老人) には、精々あと20-30年しか持ち時間がないので、そんな夢のような世の中を期待できないが、孫か曾孫の時代には、ひょっとしたら実現するかもしれない。。。我が輩自身は、日本の封建的な衆愚政治に幻滅して、半世紀近く前に、日本からの脱出を実現したので、この台湾出身の著者の気持が痛く理解できる。。。言い換えれば、これは ( 名作 「大地」で有名なパール=バック女史などの) 外人女性にしか書けない (国境を越えた) 客観的な文学である。 将来、「ノーベル文学賞」に値いするかもしれない。。。ただし、「女語」というのは、日本特有で欧米や中国の言語などには存在しない。 従って、 それを ("日本語" とハッキリ区別して) 翻訳するのは至難の業 (イタリック体で表記?) !
この小説のタイトルを強いて英訳すると、「An Island in Full Blossom of Red Spider Lilies」となる。。。もしかしたら、欧米では、「Daffodil Island」 に変えた方が "読書欲" をそそるかもしれない。 映画化には「短い題名」が必須!日本では、1958年に "天然色" 映画「彼岸花」(佐田 啓二と有馬稲子が共演) が上演されている。
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