アカシア (正確には「フサアカシア」) の幹に傷をつけると、黄褐色の樹液がにじみ出て、樹脂状に固まる。水に溶かすと、ゼラチン様の粘性の溶液となる。主成分は多糖類であり、毒性は全くない。これを通常、「アラビア ゴム」と称して、日本では、その昔 (我が輩が幼年の頃) 、郵便切手や封筒の糊付けに、よく使用されていた。驚くなかれ、アラビアゴムは、今日、様々な飲料 (例えば、赤ワイン、コーラなど
) に安定/抗酸化剤や乳化剤として、使用されている!!!
さて、今から十年近く昔、ドイツのチュービンゲン大学のフローリアン=ラング教授らが、アラビア ゴムにマラリア治療薬の作用があることを発見した。 アフリカ大陸では、昔から、アラビア ゴムの水溶液を、(典型的な "PAK依存性" 感染症である) マラリアの予防に使用する習慣があったことから、この動物実験が始まったようである。 前述したが、酪酸には、PAK遮断作用があり、マラリアにも効くが、IC50=3 mM で、高濃度が必要であるが、アラビア ゴムは その "3千倍" 強い効果を発揮することを突き止めた (IC50= 1 micro M)!
従って、アラビア ゴムは, 「海のダイヤモンド」 (フコイダン=硫酸多糖類) と同様、PAK遮断剤である可能性が高い (アカシア由来の「ダイヤモンド」!) 。
Adil Ballal, Diwakar Bobbala, Syed M Qadri, Michael Föller, Daniela Kempe, Omaima Nasir, Amal Saeed, Florian Lang (2011). Anti-malarial effect of gum Arabic. Malar J. ;10:139.
前述したが、 この研究グループは、その後 (2017年頃)、 ビタミン D3 にも、PAK遮断作用があることを突き止めている。。。ひょっとすると、(ビタミン D3 や「アラビア ゴム」 が) COVID 予防に効果的かもしれない。。。実際、我々の手で、少なくとも細胞培養系で ビタミン D3 の「抗COVID」作用が, 既に観察されている。。。
驚くなかれ、2020年頃から、アフリカ大陸東海岸のスーダン (アラビア ゴムの主産地) を中心にして、COVID の入院患者を対象にして、「アラビア ゴム」 による臨床テストが実施されているそうである。。。
Lamis Kaddam , Rasha Babiker , Sara Ali et al (2020).
Potential Role of Acacia Senegal (Gum Arabic) as Immunomodulatory Agent among newly diagnosed COVID 19 Patients: A structured summary of a protocol for a randomised, controlled, clinical trial. Trials.; 21: 766.
十数年昔、オランダに実施された ”臨床テスト” (4 週間) の結果によると、アラビアゴムを、毎日 10 g づつ 経口すると、腸内の「善玉菌」 (乳酸菌やビフィズス菌など) が有意に増加するということが判明した! しかも、アラビアゴム(飴) は 「イヌリン」(飴) より効果的! 従って、 アラビアゴムは ”健康長寿” に結び付きそう。。。更に、2021年になって、森永乳業と鹿児島大との共同研究で、アラビアゴムによる
ビフィズス菌の誘導メカニズムが解明された:
Wim Calame, Antje R Weseler, Christer Viebke, et al (2008).
Gum arabic establishes prebiotic functionality in healthy human volunteers in a dose-dependent manner. Br J Nutr.;100: 1269-75.
メルボルン郊外にある我が家の裏庭 (健康長寿の森) にも、アカシアの大木 (樹齢12年) が一本 (空高く) そびえている。 最近、枝の一本が、余りに横に伸び過ぎ、幹にとうとう亀裂が入ったので、つい最近、この太い枝を切り落とした。 切り株は、もちろん「薪」にもなるが、「アラビア ゴム」の原料として、切り株 (スライス) の「水抽出」(水耕栽培法) を開発中。。。アカシアの切り株を一晩、バケツの水に漬けておくと、(案の定) アラビアゴムが滲み出て酸化され、 水が
真っ赤になる! 水を蒸発させれば、赤「ダイヤ」が析出するはず!
特許 (案 1 ): フサアカシアの幹や枝を粉砕して、水道水に2-3昼夜 (撹拌しながら
) 浸した後、赤い (アラビア ゴム) 粘液をろ過し、上清を 日干しあるいは凍結
乾燥後、15% (水) 溶液として、マラリア、COVID、 あるいは様々の炎症等 (PAK依
存症) に対する「経口薬」として、使用する。 (少なくともマウス実験では、 治療に
成功!)
注: (アフリカ大陸、特に "スーダン" からの移民/難民が多い) 豪州では、抗炎症剤として、「アラビアゴム」粉末 (1 kg) を 5千円 程度 (安価) で通販して
いるが、日本では、天然物はもう市販されていないかもしれない (全て、合成糊
=ポリビニールアルコール)。 スーダンでは、「アラビア ゴム」の採集が、女性向けの家内産業として、発達し
てきた。。。この樹脂の"語源"は、昔から「アラビア商人」がその売買を殆んど独占していたから。。。しかし、最近は、スーダンのインテリ女性起業家らがアラビア商人に入れ替わりつ
つあり、「スーダン ゴム」と改称せねばならない日が訪れるかもしれない。。。
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