2022年3月9日水曜日

ポマリドマイド: PD-L1 遺伝子の発現を抑えるPAK 遮断剤

サリドマイドの (奇形を起こさぬ) アミノ誘導体 "ポマリドマイド" (POM、 MMの特効 薬) の抗癌作用に関する文献を詳しく調べている内に、極めて興味深い文献を 一つ見つけた。 米国コロラド大学の研究グループによる2018年に発表した論文 (1) に よれば、POM 自体が何と、免疫チェックポイント (免疫細胞の抗癌作用を破壊する )、PD-L1 (PD-1 のリガンド) 遺伝子の発現を、強く抑える (IC50=1 micro M)、 つまり PAK遮断作用がある、ことが判明した! PD-L1 の発現がPAK依存であるこ とを、我が輩は2019年に初めて提唱した (2) が、間もなくメルボルンの "昔の相棒" であ る賀 紅女史 (メルボルン大学病院) によって、(PAK 遺伝子欠損のマウス株を使用して) 遺伝学的に証明された (3) 。 従って、PD-L1 発現を抑えるものは、(詳しいメカニズムは別としても) 即、「 PAK遮断剤」 であることは自明!
本庶さん (京大) と共同で小野薬品が開発した "抗癌" モノクローナル製剤 (オプシーボ ) は高価 (1割自己負担でも、月額約30万円! いわゆる「禿鷹」製剤) なので、 我が輩自身は、より安価でしかも安全な「POM」(Celgene 販売、4 mg 錠剤)、あるいはノーベル賞 (2015年) に輝くPAK遮断剤「イベルメクチン」(米国メルク販売) を、 むしろ勧めたい。。。 少なくともマウス実験では、「POM」は "BBB" (血管脳関門) を通過するので、脳腫瘍の治療にも有効であるはず。。。

参考文献:
1. Yuki Fujiwara, Yi Sun, Robert J Torphy et al (2018). Pomalidomide Inhibits PD-L1 Induction to Promote Antitumor Immunity. Cancer Res. 78: 6655-6665.
2. Maruta, H (2019). Breakthrough: PAK1-dependent expression of PD-L1 (programmed death ligand). - Integrative Molecular Medicine 6. 353.
3. Wang K, Zhan Y, Huynh N, et al (2020). Inhibition of PAK1 suppresses pancreatic cancer by stimulation of anti-tumour immunity through down-regulation of PD-L1. Cancer Lett.;472: 8-18.

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