2023年2月1日水曜日

胃潰瘍/胃癌の原因: 胃腸内のピロリ菌
ピロリ菌の感染には、宿主 (胃腸) 細胞内のPAKが必須!
"PAK" 遮断剤 (酸乳等) で胃潰瘍/胃癌を治療しうる!

実は、2月14日 (バレンタインデー) は我が亡父 (1905-1988) の誕生日。京大独文学の秀才だったが、残念ながら、慢性胃潰瘍や、その "進歩的な" 思想 (社会/自由/平和主義) がたたって、(戦争中に) 教職を追われ、敗戦直後、 (恐らく日本では) 史上初の「主夫」(家政夫) となり、我々 (子供) の養育/教育に一生を捧げた。 皮肉にも、亡父は、胃潰瘍の主因は「ストレス」だと、長らく信じ込んでいたが、実は、そうではなかった!
1983年 (我が輩が豪州に永住する5年前) に、豪州の西豪州 (WA) 大学のロビン・ウォレン博士とバリー・マーシャル博士が胃の中にいるピロリ菌の培養に成功し、これが胃炎・胃潰瘍の原因の一つであることを (身を持って) 実証した。この業績により、2005年に、両人へノーベル医学賞が授与された。
現在ではピロリ菌の研究が進み、慢性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因ばかりではなく、「胃がん」 との関連性についても証明されている。さて、哺乳類の ”PAK” がクローンされたのは、1994年であり、このキナーゼが発癌一般に必須であることが、我々などによって明らかにされたのは、1990年代の末である。 更に、韓国の研究者によって、2007年に、ピロリ菌による感染に (PAKの活性化に必須である) SH3 蛋白 「 PIX 」が必須であることが発見された! つまり、胃潰瘍/胃癌には、「PAKが必要不可欠」であることが判明したわけである。
さて、エーザイでは、胃潰瘍の治療薬として、「セルベックス」という薬が開発され、1984年から市販された。 しかし、その分子レベルのメカニズムは余り良くわかってはいなかった。 ところが、 (水島 徹著「HSPと分子シャペロン」によれば) 徳島大学の研究チームによって、この胃腸薬が「熱ショック蛋白」 (HSP) 遺伝子の発現を活性化することが発見された。
2007年頃に我々は、線虫の実験で、PAKを遮断すると、(HSP) 遺伝子の発現を活性化することを発見した。 言い換えれば、「セルベックス」は、「PAK遮断剤」なのである! 従って、胃潰瘍や胃癌の治療ばかりではなく、健康長寿に役立つはずである。
実際、2022年の研究論文によると、線虫をセルベックス (GGA) で処理すると、 寿命が有意に伸びることが証明された (1)。 更に、GGA は「認知症モデル」 の線虫の症状軽減にも寄与する。従って、明らか に、「BBB」を通過する!
前述したが、ヨーグルトや酸乳飲料 (「カルピス」等 ) をもたらす乳酸菌は、 PAK遮断剤である「酪酸」を生産するから、これらの酸乳製品で、胃潰瘍/胃癌を 「食餌療法」しうる。 つまり、乳酸菌で、「鬼」 (ピロリ菌) 退治 (「桃太郎」の現代版)!
参考文献:
1. Isiah Mossiah, Sabrina M Perez, Taylor R Stanley et al (2022) .
Geranylgeranylacetone (GGA) Ameliorates Beta-Amyloid Toxicity and Extends Lifespan via the Heat Shock Response in Caenorhabditis elegans. Front Aging.; 3:846977.

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