大昔 (約500万年前) に、人類の祖先 (類猿人) が 他の霊長類 (猿) のごとく、(四足を使って) 木の上でずっと生活していた習性から、ある日突然、(恐らく、ある冒険好きな「オス」が飛躍的な進化を遂げて) 地面に下りて、(自ら発明した ”弓矢” などで狩りをするために) アフリカ大陸の草原を二本足で、初めて歩くようになって以来、(直立二足で) 歩く/走ることは、人類 (ホモ=サピエンス) のユニークな特徴となった。
以来、競歩、競走という競技が誕生した。しかし、競走の歴史は古いが、競歩の歴史はかなり新しい。ローマ時代の軍事訓練を競技として取り入れたのが競歩の始まりといわれ、五輪種目になったのは1908年のロンドン大会からである。 最初は距離が一定しなかったが、1932年のロサンゼルス大会から50キロメートル競歩が誕生し、陸上競技種目のなかでは ”マラソン” を上回る最長距離の種目となった。しかしながら、敗戦後の日本国内では、学校 (小学/中学) の運動会では、競走はあったが、競歩という競技は、見かけなかった。。。恐らく、戦争で荒れ果てた野山で、飢えをしのぐために、野ウサギ等の獲物を追いかけるには、”歩行” では間に合わず、「疾走する」ことが必要だったからだろう。「必要は発明の母」である。我が輩が「競歩」という競技 (レース) に初めて出会ったのは、1959年元旦だった。
我が輩は当時、都立高校の一年生だったが、元旦に父親に連れられて、明治神宮外苑を散歩していた。すると、外苑の歩道に沿って、奇妙なフォームで小走りに「歩く」一団に遭遇した。それが「元旦恒例の 10 km 競歩レース」の選手たち だった! レースは約一時間程で終了した。 物凄いスピードだった!
当時は参加者がほんの数名程度であり、実業団に属する選手ばかりだったが、今日では、男子20 km 競歩に、学生/実業団選手が100 名以上参加するそうである。 然も、女子10 km 競歩、高校生 5 km 競歩、中学生 3 km 競歩 レースも (元旦に) あるそうである。。。
さて、 我が父親は、レースが終わった直後、そのレースの 優勝者 (佐藤武男さんという教師、市川市陸協) を捕まえて、競歩について、詳しい情報を集めてくれた。 実は、我が輩は小学4年の4月初めに、肺結核の集団感染のため、半年ほど休学、自宅療養し、幸いにも特効薬「PAS」のお蔭で、九死に一生を得て、夏休み明けに復学した。しかしながら、校医から「激しい運動」は一切禁じられ、小学校を卒業するまで、体育の時間は、運動は一切できず、見学をずっと強いられた!
従って、(頭脳の発達は別だが) 身体の成長がパッタリ止まって、中学に入学した時点から、 (女子も含めて) 全校で最も身長が短い、いわゆる「チビ」(一寸法師=130 センチ) になった! 体育の時間に、鉄棒の前で、懸垂をせよ、と教師に言われたものの、(か細い両腕で) 鉄棒にぶら下がったままで、教師から (君は、肉屋にぶら下がっている「牛肉」のようだ) と評された! 運動会でも、徒競走では、何時もビリだった。 大変心配した父親は、我が輩をしばしば、近隣の「丹沢」などの登山に連れていってくれた。足腰だけは、幼少の頃から丈夫だったからである。
そこで、その元旦競歩以来、高校の陸上部に入部し、競歩を (独りで) 本格的に始めた。 しかしながら、当時、競歩は「実業団競技」で、大学生で競歩をする選手は一人いなかった! インターハイで、競歩に出場したのは、我が輩と浦和高の生徒 (ノッポ) のたった2人だけだった! 競歩は (一般に) 脚が長いほど有利である (歩幅がより長くなるからである!)。当時、世界的には、身長の高い欧州(特に北欧) の選手が (五輪などで) 上位を争っていた。身長の短い日本人選手には、とてもレースにはならなかった。
ただし、競歩を始めてから、少なくとも一つだけ 特筆すべき 「効用」があった! 高校生時代に、我が輩の身長が 「37 センチ」 も伸びた! それから60年ほどの月日が経った今日では、なぜか、競歩は日本選手の「得意わざ」の一つに成長した。一つ考えられる理由は、マラソンなどの長距離レースが、1990年代にケニアやエチオピアなどの「アフリカ」勢に独占されたため、日本選手は「活路」を (「持久力」ばかりではなく、高度な技術も要求される)「競歩」に見い出した。。。
2020年の東京五輪では、 少なくとも20 km 競歩 (男子) で、金メダルはイタリアの選手にとられたが、銀と銅は、日本選手の手に握られた。 次のパリ五輪では、両人とも、金メダルを狙っているそうである。。。
競歩と競走の違いは、競歩では、常に片方の足が地面に着地していなければならない。両足が地面から同時に離れると、「競走」と判定され「失格」になる! 従って、(最大) "時速 15 km" で競歩するためには、腰のひねり工合、腕の振り方、脚の着地など、極めて高度なテクニックの組み合わせが要求される。 言い換えれば、競歩は長距離競走 (時速 20 km の「耐久レース」) と違って、「頭脳のレース」でもある! 「駅伝レース」も日本にとって有望な「頭脳を必要とする」陸上種目であることは、前述した。
因みに、高齢者用の (運転免許無しで、歩道を走れる) 「電動式シニアカー」の最
大スピードは
"時速 6 km"。従って、(車道を活歩する) 競歩が如何に速いかが想像
できよう。。。
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