前述したが、2009年に我々はイベルメクチン (IVM) が発癌/老化キナーゼ (PAK)
を直接阻害することを発見し、更に、2016年には、中国のグループが、IVM がPAKを
分解する PROTAC/Sniper であることを発見した!
さて、 Zebra Fish の発癌性転写蛋白 (betaーカテニン) を異常活性化すると、
失明する (1996年頃に発見)。 ところが、この「失明」株をIVM で処理すると、失明が解除される!
そこで、その分子メカニズムを解明するために、岩手医科大学薬学部の上原至
雅教授の研究室と北里研究所の砂塚教授の研究室が共同で、 (ビーズ上の) "IVM" に直
接結合する標的蛋白を同定している内に、新しい (extra) 標的を、つい最近 (2022年に)
発見した。 この標的は「TELO2 」と呼ばれる、発癌キナーゼPIKKの相棒だった!
PIKK は (PAK 同様) その下流にある「betaーカテニン」の活性化に必須である。
従って、IVM は、恐らく、PAK とTELO2 両方に結合して、「betaーカテニン」を抑制し、この変異株 (魚) の失明を解除すると考えられる。
我が輩の「予測」であるが、 Zebra Fish の NF2 (Merlin) 欠損株では、PAK
とTOR が異常活性化しているから、(当然ながら) その下流の「betaーカテニン」
も異常活性され、恐らく失明するだろう。。。言い換えれば、NF2欠損株 (魚) を
利用して、 NF2 治療薬 (PAK/TOR 遮断剤) をスクリーニングし得るだろう。 なお、 "メダカ" でも "失明" (eyeless) 変異体が見つかっている。
実は、上原くんは、 我が輩の大学時代の同じ研究室の後輩である。 その昔、チロシ
ン=キナーゼ (SRC etc) の阻害剤のスクリーニングをしていた。。。
0 件のコメント:
コメントを投稿